研究概要 |
1.磁気ターゲッティングを利用したDDSの臨床応用に向け,PEG修飾ADR封入磁性体リポソーム(ADR-M/PEG-L)を用いたステルス効果と可変型電磁石を用いた外磁場によるターゲッティング効果について検討した。A群:ADR封入磁性体リポソーム(ADR-ML)静注,腫瘍内に磁石留置(0.4T),B群:ADR-M/PEG-L静注,腫瘍内に磁石留置(0.4T),C群:ADR単独静注,D群:ADR-ML静注,外磁場(0.4T)の4群において比較検討した。結果。,血清ADR濃度はA群で投与後12時間で消失したのに対しB群では24時間まで維持されており血中滞留性が確認された。投与後24時間における濃度・時間積は,腫瘍:A群6.30,B群8.33,C群2.21,肝臓:A群52.0,B群39.7,C群15.2であった。B群はA群に比し腫瘍において高く肝臓において低いADR集積を示し、ステルス化による細胞内皮系の回避と局所集約性の向上が確認された。投与後12時間における濃度・時間積は,腫瘍:A郡4.68,C群1.49,D群2.48であり腫瘍内磁石に劣るが外磁場においてもターゲッティング効果が認められた。 2.遺伝子治療への応用のためベクターとしての磁性体カチオニックリポソーム(MCL)を開発し,ハムスター骨肉腫培養細胞に対しin vitro遺伝子導入を行った。シャーレ下に0.23Tの磁石を設置した磁場(+)群とコントロールの磁場(-)群の間でLacZ発現量を経時的に比較した。結果。1時間:磁場(+)群69.5,磁場(-)群10.9,3時間:磁場(+)群80.7,磁場(-)群33.1と導入後3時間以内では磁場(+)群の方が有意に遺伝子発現が高かったが,導入後6時間以降では両群間に有意差はみられなかった。遺伝子導入早期において遣伝子発現の磁気ターゲッティング効果が確認された。
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