研究課題/領域番号 |
12557129
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
土肥 修司 岐阜大学, 医学部, 教授 (40155627)
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研究分担者 |
菊池 寛 第一製薬株式会社, 主任研究員
柳舘 富美 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (60313889)
道野 朋洋 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (80283315)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | オピオイド / オキシコドン / 脊髄硬膜外鎮痛 / モルヒネ / 脊髄鎮痛 / ポリマー / microsphere |
研究概要 |
手術後痛に対してポリマー化したオピオイドを麻酔開始時の1回注入法は、注入ポンプによるオピオイドの持続的注入の欠点の回避とカテーテル管理の煩雑さがなく、手術後患者のQOLの向上にもつながり、臨床的価値は高く、医療費の多大の節約となると期待される。 脊髄硬膜外腔にカテーテルを留置した慢性ラットモデルを用いて、3種のオピオイドの脊髄硬膜外腔に投与し、一週間抗侵害効果を観察した。オキシコドンは、濃度依存的に鎮痛効果を発揮したが、その脳幹網様体への投与は、カルバコールとは異なり、鎮静作用を示さなかった。更に、モルヒネが培養細胞のMAPKキナーゼのリン酸化に影響するとの報告があるが、オキシコドンはPC-12細胞では影響しなかった。これらの動物実験と海外の究結果をもとに、倫理委員会の承認を得た後60名の患者に、オキシコドンの溶液の脊髄硬膜外腔の手術後痛に対する鎮痛効果を、モルヒネと比較した。オキシコドン(6mg/day、12mg/day)は、投与量に比例して鎮痛効果を発揮し、12mg/dayではモルヒネ6mg/dayと同等の効果が得られた。また、オキシコドンでは悪心・嘔吐などの副作用が少なかった。更に、脊髄硬膜外腔に投与されたオピオイドが、脊髄麻酔によって生じた硬膜の小さな孔を介して脊髄クモ膜下腔に移行し、呼吸抑制などの合併症をきたす可能性もある。この点を臨床的に検討したが、硬膜外腔に投与したモルヒネが脊髄麻酔によって生じた孔を介して直接脊髄に移行するのは極めて僅かであることが観察された。 術後痛という激しい急性痛に対して、ポリマー化したオピオイドの1回の硬膜外投与の試みは、外国の企業がこれに取り組み始め、この面の研究も進むものと思われる。
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