研究課題/領域番号 |
12557130
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
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研究分担者 |
清水 唯男 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40303961)
柴田 政彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50216016)
清野 宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10271032)
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キーワード | 神経因性疼痛 / NF-kB / デコイ / HVJ-liposome / 疼痛過敏 |
研究概要 |
本研究では、炎症性サイトカインなどが共通に利用するシグナル伝達分子NF-kBに焦点をあて、NF-kBを阻害することで神経因性疼痛の病態解明と治療の可能性を検討した。6週齢のSDラットを用い、第5脊髄神経を絹糸で結紮することにより神経因性疼痛動物モデルを作製した。疼痛の評価は温熱刺激に対する逃避反応の測定により行った。HVJ-liposome法を利用してデコイ型核酸NF-kBを神経傷害部位に遺伝子導入を行った。本法はLiposomeに不活化センダイウィルスの膜融合タンパクを装飾し細胞への遺伝子導入効率を高めたベクターである。このベクターを利用しNF-kBデコイとScrambleデコイ(control)型核酸をラット神経因性疼痛モデルの傷害神経に導入し、2群間で温熱刺激に対する疼痛過敏反応を遺伝子導入後2週間にわたり評価した。さらに、核酸遺伝子の分布を検索するために、神経因性疼痛モデルの傷害神経にFITCで蛍光標識をした核酸をHVJ-liposome法を用いて導入し、蛍光顕微鏡によって神経におけるその分布範囲を観察した。その結果、(1)傷害神経に遺伝子導入したデコイ型核酸は導入1日後には神経細胞質のみならず核内にも移行し、2週間以上その存在が認められた。さらに、(2)NF-kBデコイ型核酸をラット神経因性疼痛モデルの傷害神経に導入することによって熱疼痛過敏の発が2週間以上にわたり抑制された。本研究により、神経因性疼痛動物モデルにおいて、HVJ-liposome法を用いたデコイ型核酸NF-kBの遺伝子導入により神経因性疼痛発症を抑制することが可能であることが明らかになった。
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