研究課題/領域番号 |
12557139
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 仁雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40038766)
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研究分担者 |
福嶋 恒太郎 九州大学, 医学部, 助手 (40304779)
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 講師 (00225947)
福島 重廣 九州芸術工科大学, 大学院・芸術工学研究科, 教授 (60027927)
望月 剛 アロカ株式会社, 研究所, 主任研究員
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キーワード | ヒト胎児 / 三次元超音波画像 / 胎児行動 |
研究概要 |
胎児の自発運動の中でも全身の運動であるgeneral movement(GM)は、妊娠8-9週頃に出現し生後5-6か月まで持続する運動である。新生児ではその動きの複雑さや優雅さの評価により脳障害を判定することが可能であると報告されている。妊娠初期胎児においても、四肢の動きに異常を認めた児に流産にいたった症例が多いことをHepperらが報告している。しかしながら超音波Bモード法では胎児の四肢を同時に観察することは不可能であるため、その動きの関連を観察することはできなかった。また、Visserらは妊娠初期胎児と新生児の動きが似ていることが報告したが、これもBモード法を用いていたため四肢の同時観察は行われていなかった。前年度開発した三次元超音波断層装置では高速スキャンが可能であり、胎児の四肢の動きを同時に観察することが可能であると考えられる。そこで本年度は本装置を用いて妊娠初期胎児の動きと新生児の動きを比較した。まず正常例の自発運動に関して四肢の動きを移動距離と移動方向について、自己相関関数・相互相関関数を用いて解析した。新生児にも同様の解析を行ったところ、妊娠初期胎児と新生児の四肢の動きに類似性が認められた。すなわち、本研究により、妊娠初期胎児と新生児の四肢の動きに相同性があることがはじめて示された。 以上より、新生児ないしは妊娠後期の胎児と同様妊娠初期胎児においても神経系の発達異常を診断できる可能性が示唆された。今後は動作の異常例に関してその後の神経学的発達過程を検討し、長期的な予後との関連を明らかにする必要がある。
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