研究課題/領域番号 |
12557140
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
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研究分担者 |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30167788)
久布白 兼行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50170022)
塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40118972)
松浦 司郎 ヤトロン(株), 技術開発部, (研究職)課長代理
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キーワード | 子宮体癌 / 細胞診 / EmC-EIA / Thin Prep / MSN-1 |
研究概要 |
子宮体癌(以下「体癌」と略)における細胞診の判定は必ずしも容易ではなく、疑陽性例増加の一因となっている。そこで我々は、子宮体部より採取される細胞診検体を用いて、体癌に特異的に発現する糖鎖抗原(SN-Ag)をターゲットとした酵素免疫測定法(EmC-EIA法:Endometrial Cell Enzyme Immunoassay)を開発し、体癌の新しい補助診断法としての有用性を検討してきた。Thin Prep(米国Cytyc社)は、細胞診検体を液体中で固定・保存し、細胞が重積しないように機械的に分散させて単層に塗抹するモノレイヤー標本作製装置であり、Thin Prepを応用して検体処理を行った。 手術時採取した体癌44例(G1:32例、G2:5例、G3:5例、Adenosquemous:2例)、正常内膜10例における細胞診検体を、Thin Prepを利用してフィルター膜に吸着させ、フィルターごと細胞分散媒溶液に浸し撹拌した後、30秒間超音波破砕器により微小細胞断片化したものを測定検体とした。検体中のSN-Ag量の測定は、SN-Agと特異的に反応するモノクローナル抗体MSN-1を用いたSandwitch EIAにより行い、SN-Ag量が測定できたものを陽性検体とした。 体癌44例におけるEmC-EIAの陽性率は72.7%(G1:75.0%、G2:80.0%、G3:40.0%、Adenosquemous:100.0%)であり、正常内膜12例の0%に比べ高い陽性率を示した。 細胞診検体を用いたEmC-EIA法は、簡便であり、しかも体癌例(特にG1体癌)で正常内膜例に比し高い陽性率を示すことから、細胞診判定に苦慮することがまれではない高分化型体癌において細胞診の補助診断法として有用である可能性が示唆された。
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