研究課題/領域番号 |
12557140
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
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研究分担者 |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30167788)
久布白 兼行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50170022)
塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40118972)
松浦 司郎 ヤトロン(株), 技術開発部, 課長代理(研究職)
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キーワード | 子宮体癌 / 細胞診 / Thin Prep / 酵素免疫測定法(EmC-EIA) / 頸管腺細胞 |
研究概要 |
子宮体癌(以下「体癌」と略)における細胞診の判定は必ずしも容易ではなく、疑陽性例増加の一因となっている。そこで我々は、子宮体部より採取される細胞診検体を、モノレイヤー標本作製装置であるThin Prepを応用して処理した検体を用いて、体癌に特異的に発現する糖鎖抗原(SN-Ag)をターゲットとした酵素免疫測定法(EmC-EIA)法を開発した。平成12年度では、手術検体を用いた検討にて、新たに改良したEmC-EIA法が、体癌の補助診断法として有用であることを明らかにした。そこで平成13年度においては、実際の臨床検体を用いた測定を行い、その実地臨床における有用性を検討した。測定検体は、外来にて子宮腔内より細胞診検体を採取し、その後の病理組織検査にて診断が確定した137検体(正常内膜84検体、内膜増殖症17検体、体癌36検体)である。体癌36検体におけるEmC-EIAの陽性率は69.4%(G1:73.1%,G2:60.0%,G3:60.0%)であり、手術検体同様G1体癌検体で高い陽性率を示した。正常体内膜84検体における陽性率は15.5%であり、手術検体における陽性率0%に比べ臨床検体では偽陽性率の上昇を認めた。偽陽性を示した13検体の解析では、子宮筋腫合併例が8例と多く、また、同一検体より作製した13検体のThin Prep細胞診標本にて多数の頸管腺細胞の混入が認められたこと、さらに、追加実験として施行した正常頸管腺細胞5例における陽性率が100%であったことなどから、体内膜細胞採取時の正常頸管腺細胞の多量の混入が偽陽性の原因と考えられた。なお、内膜増殖症検体の陽性率は35.3%であった。以上の臨床検体での検討において、体癌検体(特にG1体癌)で正常内膜検体に比べ、高い陽性率を示したこと、内膜増殖症における陽性率が体癌と正常内膜の間の値を示したこと、検体採取時の頸管腺細胞の混入により、偽陽性率が上昇したことなどから、本EmC-EIAにおける測定は、臨床検体におけるSN-Ag量を正しく反映しており、検体が子宮腔内から正しく採取されるよう留意さえすれば、体癌、特に細胞診判定に苦慮することがまれではない高分化型体癌において細胞診の補助診断法として臨床応用可能であることが明らかになった。
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