眼特異抗原である視細胞間レチノイド結合蛋白(IRBP)のプロモーターと卵白アルブミン(OVA)発現遺伝子を結合し、この遺伝子を(B6xDBA2)F1を掛け合わせたF2の受精卵にマイクロインジェクションしてくみこんだトランスジェニックマウスを作成した。IRBPは眼特異蛋白であるから、眼組織にOVAが発現されるはずである。このマウスとOVAに対するT細胞レセプターを発現しているDO11.10をかけあわせ、DO11.10発現し、眼内にOVAを発現しているマウスを作製した。これにより、自己免疫反応が惹起されれば自然発症ぶどう膜炎が観察される。しかし、眼組織での蛋白レベルでの発現は免疫染色で良い抗体がなく、確認できない。In situ hybridizationでもはっきり確認できず遺伝子の導入がうまくいっていない可能性もある。プロモーターとしてIRBP以外も用いてさらに研究を続行予定である。 同時並行でヒトβアクチンプロモーターでヒトMCP-1の発現を駆動するトランスジェニックマウスを作成した。このマウスは血中に高濃度のMCP-1蛋白を発現し、接触過敏反応が増強されることがわかっている。このマウスに網膜抗原免疫によるぶどう膜炎を誘導すると、対照に比べぶどう膜炎発症が最大重症度は増強されないが、発症が早期に促進されることが判明した。このマウスが今後モノカインのぶどう膜炎への関与を知る実験動物として利用できる可能性がある。
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