研究課題
基盤研究(B)
脈絡膜新生血管に罹患する患者数は近年増加しているが、現在のところ有効な治療法はない。従来の治療法としては光凝固や脈絡膜新生血管抜去しかないが、これら治療成績は決して満足のいくものではない。中心窩移動術はこれらの従来の治療法では救えない人々の唯一の光明になると期待されている。しかしながら、中心窩移動術自体は手術手技が複雑であり、今後さらに簡便に、そしてさらに安全に行えるよう改良の必要がある。最初にわれわれはイヌ眼で中心窩移動術を行い、網膜が皺を形成するとその部分がアポトーシスを生じることを発見した。この事実から中心窩移動術を行う際は網膜皺を形成しないように注意しなければならないことが示唆された。さらに我々が考案したカルシウムおよびマグネシウム抜きの眼内灌流液を用いることにより意図的網膜剥離をより障害少なく作成できることを家兎眼で突き止めた。最後にブタ眼で強膜短縮を行う際に強膜を過度に短縮すると極端な乱視を生じることを発見した。このことから、強膜短縮術を行う際は中心窩移動を生じせしめるに足る最小限の短縮幅にとどめることが重要であることを突き止めた。中心窩移動術はいまだ完全ではないが、これら研究成果をフィードバックすることにより、より安全で簡単に行える手術に改良されることが期待される。
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