研究課題/領域番号 |
12557151
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高野 吉郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90126425)
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研究分担者 |
馬場 麻人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90251545)
坂本 裕次郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90242205)
寺島 達夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20114770)
高橋 信之 生化学工業株式会社, 東京研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | エナメル質 / 象牙質 / 歯周組織 / セメント質 / bishoshonates / HEBP / 再生 / 歯 |
研究概要 |
本研究は、エナメルタンパク質の硬組織再生誘導作用の実際を、in vivo実験系を中心に詳細に観察し、セメント質と歯槽骨および歯根膜の形成誘導と、それらの空間配置を制御する仕組みについて検索することを目的に企画され、以下の検討を行った。 1.石灰化阻害モデルを用いた歯根膜腔へのエナメル基質の漏出と硬組織形成誘導:モルモットにbisphosphonateの一種であるHEBPを連続投与して新規に形成される骨や歯の基質の石灰化を完全に阻害すると、基質形成期のエナメル芽細胞層が既存のエナメル質表面から剥離し、歯根膜内にエナメル基質の貯留部(エナメル質プール)が高頻度で出現した。エナメル質プールはエナメル器の細胞で覆われて嚢胞状を呈する場合と、歯根膜組織に直接接する場合があったが、後者ではプール周囲に軟骨様組織が形成されている場合が多く認められた。軟骨様組織は本来の歯根膜組織内に形成されていたことから、少なくともモルモット臼歯に於いては、エナメルタンパク質には歯小嚢由来の未分化間葉細胞を軟骨細胞へと分化させ、軟骨形成を誘導する作用があることが示唆された。 2.新鮮抜去切歯の異所性埋植実験:ラットから切歯を抜歯してエナメル質表面を露出させ、直ちに同系ラットの皮下に移植してエナメル質と結合組織界面での変化を経時的に観察したところ、一部で幼若エナメル質表面に限局性に骨様組織が形成され、エナメル質基質に骨様組織の形成誘導作用がある可能性が示唆された。 3.エナメル質粗抽出物の末梢結合組織への作用:豚エナメル質の粗抽出物(エムドゲイン)をラットの背部皮下組織と筋膜内に直接注入し、あるいは基材に含浸させて長期徐放させても、硬組織の形成誘導は見られなかった。幼若ラット切歯のエナメル質を単離して皮下に埋入した場合も硬組織形成は認められなかった。 以上より、エナメルタンパク質は末梢結合組織の細胞に対しては特段の作用を持たないが、歯小嚢に由来する歯根膜細胞の硬組織形成能を促進し、歯周組織の再生を促す効果を有することが明らかとなった。
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