研究分担者 |
板垣 由美 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10223067)
井川 資英 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80176065)
米田 栄吉 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (80108547)
福田 俊男 ワイエイシイ(株), プラズマシステム事業部, 部長(研究職)
石幡 浩志 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40261523)
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研究概要 |
本年度の目的は、プラズマアッシング装置のチャンバー内を高度の真空に維持して、低温で安定したプラズマを発生できる反応条件とモニタリング系を確立すること,およびプラズマの殺菌効果と過酸化水素プラズマ滅菌装置(STERRAD*100^R,ジョンソン&ジョンソン,ST装置)の滅菌機序について検討を加えることであり,以下の成果を得た. 1)出力,真空度,ガス流量,チャンバ内の温度の経時変化をモニタリングし,ストアできる測定系を確立した. 2)バイオロジカルインジケータ(BI)を対向電極方式でプラズマ処理した.市販のBI(ジョンソン&ジョンソン)ではすべて陽性培養であった.市販のBIは芽胞が濾紙内に浸透あるいはアンプルで覆われているため,プラズマの効果が及びにくいものと推察される.自家製のBI(金属板や石英ガラス板に一定量の芽胞を塗布して作製)では,トリプトケース培地にて培養すると,ヒーター温度が高いほど,処理時間が長いほど,また出力が大きいほど培養陰性率が高くなった.ヒーター温度60℃,10分間のプラズマ処理により,芽胞B.Stearothemophilus10^4を塗布した試料10例すべてが陰性培養を示した.非プラズマ処理群(ヒーター温度60℃,100℃,140℃)では,試料は全て陽性培養であった.これより,プラズマ処理時の殺菌効果は,熱効果でなくプラズマ本来の物理的効果に依存することが明らかとなった. 3)ST装置の滅菌機序を検討した.チャンバ内にBI(ジョンソン&ジョンソン)を置いて電源を投入し,表示パネルの処理完了時刻の25分前に故意に電源を切ってプラズマ行程をスキップした.培養したBIは10検体すべて陰性を示した.これより,ST装置では,プラズマ行程前に,滅菌処理が既に完了し,滅菌効果がプラズマではなく過酸化水素ガスの薬理効果に依存していることが示唆された.
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