研究課題/領域番号 |
12557161
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
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研究分担者 |
平岡 諦 大阪府立成人病センター, 第5内科, 部長
木ノ本 喜史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10252694)
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50218286)
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キーワード | 実験的慢性根尖病巣 / ラット / 免疫抑制剤 / Cyclosporin A / 易感染性宿主 / 歯性病巣感染 / CT |
研究概要 |
Cyclosporin A(CsA)などの免疫抑制薬は臓器移植および自己免疫疾患における免疫反応の抑制の目的で用いられている。CsA投与による免疫抑制により、それまで無症状のまま経過していた慢性根尖病巣が悪化するのではないか、さらに慢性根尖病巣局所の炎症反応が遠隔臓器に影響するのではないかという点については大きな興味がもたれている。これらを解明する第一段階として、本研究では、ラットの根尖病巣実験モデルを用いて、慢性根尖病巣を惹起し、CsA投与後の根尖病巣の大きさの経時的変化ならびに組織学的変化について検討した。 5週齢雄性Wistarラットの下顎第一大臼歯咬合面を露髄後、口腔内環境に開放し4週間放置し、慢性根尖病巣を惹起した。その後、ラットにCsAの腹腔内投与(5,10あるいは20mg/kg/day)による免疫抑制を28日間行った。また生理食塩水投与を行ったものをコントロール群として用いた。CsA投与開始後より、CTスキャンによる病巣部の撮影を行い、画像解析による病巣の体積の経時的変化を検索した。CsA投与群(10あるいは20mg/kg/day)では、コントロール群に比べて有意な病巣の体積の減少がみられ、5mg/kg/dayのCsA投与群においても同様の傾向が認められた。さらに、28日間のCsA投与期間終了後、CsA投与中止により病巣の体積は経時的に増加傾向を示した。また、28日間CsA投与後、病巣部の病理組織学的観察により、CsA投与群は根尖病巣辺縁部に線維性組織増生を認めた。 CsA投与による免疫抑制を行うと、病巣は辺縁部より線維性組織で被包され、周囲への病巣の拡大は抑制されるが、CsA投与中止後は病巣が拡大する可能性があることが分かった。
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