研究概要 |
Enterococcus faecalis, Streptococcus intermedius, Streptococcus pyogenes, Streptococcus sanguis, Fusobacterium nucleatum, Staphylococcus aureusならびにPropionibacterium acnesの7細菌種を用いてin vitro系でガッタパーチャポイント(GP)に対するバイオフィルム形成能を微細形態学的に検索したところ、F. nucleatumおよびP. acnesはGP表面にはバイオフィルムを形成しないことが明らかとなった。続いて、平成13年度に確立した、ビーグル犬の第1後臼歯の根尖孔外にバイオフィルムを形成する実験系において,上記in vitro実験でGPに付着した5細菌種を4週間単一感染させ、それぞれの細菌種の根尖孔外バイオフィルムからの分離頻度を検索した。その結果、E. faecalisが71.4%(10/14)の頻度で単一分離・同定され、供試した5細菌種のうち最も根尖孔外にバイオフィルムを形成しやすいことが明らかとなった。一方、他の4細菌種は、いずれも10%以下の分離頻度であった。 得られた成果に基き、E. faecalisバイオフィルムをビーグル犬の根尖孔外に形成した後、酷酸メチルプレドニゾロンの8週間投与により易感染性実験動物を作製し、バイオフィルムからの遊離細菌が惹起する菌血症について検索し,以下の結果を得た。4週間の免疫抑制では、根尖孔外のE. faecalisバイオフィルムに起因する菌血症は惹起されなかった。一方、E. faecalis培養液を直接根尖孔外に接種した陽性対照群においては、プレドニゾロン投与時より持続的に菌血症が発症した。現在、プレドニゾロン投与濃度や期間ならびに投与薬剤を再検討し,開発したモデル上で菌血症について引き続き検索中である。
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