研究分担者 |
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50301891)
安田 元昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90239765)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
中須 正議 ペンタックス(株), ニューセラミック部, 研究員
川崎 貴生 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90002229)
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研究概要 |
最終年度である本年度は,昨年度開発した吸収性のBMP (Bone Morphogenetic Protein)のキャリアであるβ-TCPとCMキチンの複合体について,β-TCPの形状を球形とするなど改良を加えるとともに,詳細な物性,生体反応およびBMPのキャリアとして用いた場合の骨形成について検索し,その後これをイヌを実験動物として用いた抜歯即時インプラントへの応用を行った. β-TCPとCMキチンの複合体の物性について,β-TCPの粒径とCMキチンの濃度を変化させ,この材料の特徴である粘性についての計測を行った.粘性はCMキチン濃度が7%と低い場合はβ-TCPの粒径に影響されたが,CMキチン濃度が10%を越えると,β-TCPの粒径よりCMキチンの濃度に影響された.粘性と操作性を考慮し以降の動物実験においては,CMキチン濃度14%のものを使用した. CMキチンを単独で皮下に埋入した場合は,埋入後3日においてもほとんど炎症反応は観察されず,1週間で吸収されていた.複合体においてもCMキチンは1週で吸収され,β-TCP単独で埋入したものと差違は認められなかった.4週後には,β-TCP表面に異物巨細胞が観察され,吸収が示唆された.大腿骨内に埋入した場合は,1週で骨組織との接触が認められ,4週で骨組織との置換が示唆された.組織計量において,新生骨量は1週と8週め間で有意差は認められなかったが,残存しているβ-TCP量は有意に減少し,置換,吸収されていることが示された.BMPのキャリアとして用いた場合,組織学的に良好な異所性の骨形成が認められ,アルカリフォスファターゼ活性,オステオカルシンについても定量的に検索した結果,骨形成が活発に行われていることが示唆された. これらの結果をもとに,抜歯即時インプラントにおいてインプラント周囲海綿骨とインプラント周囲の骨欠損部に,このβ-TCPとCMキチンの複合体を応用したところインプラント周囲の海綿骨を緻密化させ,新生骨の増加に有効であることが示された.
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