研究概要 |
1.口腔癌の生検及び手術材料における内因性iNOSの発現をin situ hybridization,免疫染色により検索した。更に、iNOSの発現と治療効果或いは予後との関連性を検討した。その結果、口腔癌の生検材料で腫瘍浸潤リンパ球[(Tumor infiltrating lymphocytes (TIL)]でiNOSmRNA及びタンパクの発現が高度である程、放射線治療及び免疫化学療法(OK-432+UFT)に対する感受性が有意に高く、予後良好であることを示唆する知見を得た。また、手術材料においてもiNOS発現誘導を高度に認めるTILが多数存在する程、予後良好であった。2.OK-432よりリポタイコ酸関連分子OK-PSAを調製した。OK-PSAは強力なTh1-タイプサイトカイン誘導分子であることを明らかにした。ヒト唾液腺癌(HSG)を担うヌードマウスにおいて、OK-PSAを腫瘍周囲に投与して治療すると、IFN-γ,TNF-α,IL-2,IL-12,IL-18等のTh1-タイプサイトカイン及びnitrite/nitrateを血清中に著明に産生した。また、OK-PSAは、TIL,所属リンパ節細胞及び脾細胞の殺細胞活性を上昇した。更に、OK-PSAは腫瘍組織へのリンパ球浸潤、主にNK細胞の浸潤を誘導した。また、OK-PSAは腫瘍増殖を有意に抑制し、OK-PSAの抗腫瘍効果は抗アシアロGM1抗体の投与により消失した。3.iNOS遺伝子を導入したヒト口腔癌細胞をヌードマウスに移植して調整した腫瘍組織には、TIL,マクロファージ,NK細胞の浸潤を認めた。また、口腔癌細胞におけるNOの産生は、p27^<kip1>,p21^<Waf1>のup-regulationを誘導した。
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