研究概要 |
1.ヒト口腔扁平上皮癌細胞(B88)にiNOS遺伝子を導入し過剰発現させた細胞では、in vitro及びヌードマウスでの増殖は有意に抑制され、NOの産生を検出した。また、放射線照射を行うと、更に有意に細胞増殖が抑制され、アポトーシスの誘導が検出された。一方、B88細胞におけるiNOS遺伝子のdown-regulationは、細胞増殖を有意に増強した。2.B88ヌードマウス腫瘍にiNOS遺伝子を導入した場合、bystander effectの誘導が検出された。この場合、腫瘍組織に浸潤している炎症細胞に、iNOSの発現が免疫染色により検出された。3.我々はすでに、口腔癌に対してOK-432+UFT+放射線の同時併用療法の有効性を報告している。この場合、治療前生検組織において、癌胞巣に一致してiNOSの発現を認めるが、治癒した時点での生検組織では、上皮の再構築がなされ上皮下間葉組織にはiNOSを強く発現する炎症細胞の浸潤を多数認めた。4.OK-432よりリポタイコ酸関連分子(OK-PSA)を調製した。OK-FSAは強力なTh1-タイプサイトカインを誘導することを明らかにした。5.ヒト唾液腺癌(HSG)を担うヌードマウスにおいて、OK-PSAを腫瘍周囲に投与して治療すると、IFN-γ,TNF-α,IL-2,IL-12,IL-18等のTh1-タイプサイトカイン及びNOの産生が検出された。また、放射線治療を併用すると上記のサイトカインとNOの産生が増強された。6.ヒト末梢血単核球、U937細胞、ヒト歯肉線維芽細胞、ヒト口腔扁平上皮癌細胞(BHY)をin vitroでOK-PSAで処理すると、NO2^-の産生が培養液中に検出された。7.B88細胞をNO donor(NOC18:0.01-1mg/ml)存在下で培養すると、高度なアポトーシスの誘導を検出した。
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