研究概要 |
1.新規転移モデル系の作製および解析 同所性移植法にて浸潤・転移能に相違のあるヒト舌癌細胞株SQUUの各クローン(A:非転移,B:高転移,C:造腫瘍能なく間葉系の性質)をホスト細胞とし,蛍光発色Enhanced Green Fluorescent Protein(EGFP)(緑)や発光色の変異体DsRed(赤色),ECFP(シアン)を発現する癌細胞株を作製。A由来A-EGFP(緑色)とB由来B-DsRed(赤色)は恒常的に蛍光発色を示した。C由来C-ECFPは不安定なため再作製中。 A-EGFPとB-DsRedをそれぞれ同所性移植し,浸潤像と転移率がホスト癌細胞移植時と変化がないことを確認。A-EGFP,B-DsRedの混合群を移植し,経時的(移植後1日,21日,35日)に検討。1日では均等に混在。21日,31日後の腫瘍先進部では主にB-DsRedの局在を認めた。現在剖検時を(1日,7日,14日,21日,28日,35日)とし,検体数を増やし検討中。各クローン単独および混合群移植後35日のMMPの発現を免疫染色にて検討し,有意差はなかった。組織内MMP活性検出法であるfilm in situ zymography(FIZ)法にて腫瘍先進部のB-DsRedにMMP-2,MMP-9の活性型の発現を認めた。移植部の細胞を酵素処理し,FACS sortにてそれぞれ回収したA-EGFPならびにB-DsRedとin vitroの各癌細胞間の遺伝子の発現の相違をGenomic Figer Print法およびDifferential Display法にて検討し,発現の相違を6バンド検出したので,その遺伝子の塩基配列を解析している。 2.抗転移薬効果の検討ならびに作用機序の解析 各クローンを同所性移植したヌードマウスに,抗転移薬NK4を投与したところ,腫瘍増殖の抑制を認め,移植後35日では転移を認めなかった。移植日数を増大させ転移の有無を検討中。PCNA染色とTUNEL染色にて,投与群に癌細胞のアポトーシスが増大。免疫染色ならびにFIZ法にてMMPの発現を検討している。
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