研究概要 |
1.浸潤・転移関連遺伝子の解析 同所性移植法にて浸潤・転移能に相違のあるヒト舌癌細胞株SQUUの各クローンにおけるin vitro, in vivo(舌移植部)での遺伝子の発現をGenomic Figer Print法およびDifferential Display法にて検討したが,検出効率が悪かった。そので,ヒト肝臓由来のアレイ(15000個),およびヒト白血球由来のアレイ(15000個)によるマイクロアレイ解析(アレイは九州大学大学院農学研究院・田代康介助教授より供与)に変更し解析を行った。約200種類遺伝子の発現の相違を得たので,そのシークエンスならびにその遺伝子のトランスフェクタントを作製し機能解析を行っている。 2.抗転移薬効果の検討ならびに作用機序の解析 抗転移薬はNK4(HGFのアンタゴニスト)ならびエンドスタチンについて検討を行っている。高転移性クローンを用い,in vitroでの浸潤能の変化をインベイジョンアッセイにて検討した結果,NK4添加にて浸潤能の低下を認めたが,エンドスタチンでは変化がなかった。in vitroでの抗転移薬の癌細胞に対する作用機序の解明のために,各抗転移薬を高転移性クローンに添加した群と非添加群における遺伝子の発現の相違についてGenomic Figer Print法およびDifferential Display法を行ったが相違を検出しなかった。そこで,上記マイクロアレイ解析にて検討した。遺伝子の発現の相違をNK4に関しては約50種類検出,エンドスタチンに対しては約20種類検出したので,そのシークエンスを行っている。in vivoでの検討は抗転移薬の入手ならびに投与法のため発現アデノウイルスベクターによる方法を取ることとした。NK4に関してはADCMV・NK4は東北大学の貫和教授より供与していただいた。エンドスタチンに関しては現在作製中である。作製後投与群と非投与群での遺伝子の発現の相違をマイクロアレイ解析する。
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