研究概要 |
1.浸潤・転移関連分子の解析(癌と間質および癌細胞間相互作用を考慮) 浸潤・転移能に相違のある舌癌細胞株の遺伝子の発現をin vitroとin vivo(1種類の癌細胞株の同所性移植群,転移性・非転移性癌細胞株を混在した新規転移モデル群)にて各々マイクロアレイ解析を行い比較検討した。in vivoにて発現する遺伝子を認めたので,それらの遺伝子を同定した。in vivoでは(ヒトの遺伝子と一部共通性が有る場合)マウスの遺伝子を検出している可能性があるので,これらの遺伝子を発現している細胞の同定を行っている。新規転移モデル群の解析より得られた癌細胞間の相互作用に関与する遺伝子を10種類同定した。これらの遺伝子の局在を検討している 2.抗転移薬の作用機序の解析 抗転移薬NK4(HGFのアンタゴニスト)とエンドスタチンについて検討した。NK4(アデノウイルス発現ベクター:東北大学貫和教授より供与)はin vitroとin vivoともに浸潤能をおさえた。投与・非投与群の遺伝子の発現をマイクロアレイ解析し,発現の相違遺伝子を同定した。エンドスタチンは市販の試薬を使用したが,浸潤能を押さえず,マイクロアレイ解析にて相違を認めた20種類の遺伝子の再現性もなかったので,当科にてエンドスタチンのアデノウイルス発現ベクターを作製し,投与にて血管内皮細胞の浸潤能の抑制や動物の皮下移植の腫瘍の増殖抑制を認めた。同所性移植モデルでのリンパ行性転移抑制の検討とマイクロアレイ解析を行っている。
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