研究概要 |
感染性心内膜炎予防のためのリード化合物探索を目的として、口腔常在菌であり心内膜炎原因菌の一つでもあるGraulicatella adiacensのフィブロネクチンへの結合を阻害するモノクローナル抗体(mAb)の標的エピトープ構造を探索するべく、種々のペプチドライブラリーを化学合成した。昨年度は1粒のレジン上に1種類のペプチドのみが固定化されたライブラリーを構築しスクリーニングを行った。しかしながら、レジン1粒のエドマン分解による分析により特異的配列を完全同定できなかった。そこでこの手法を改良し、配列決定手法の検証も含め、NおよびC末端にGly残基を配置したGly-X-X-X-X-Gly-TentaGel(Xは19種のアミノ酸で1粒状に一種のペプチドが固定化)ライブラリーを合成し、特異的に反応した粒のアミノ酸配列を決定した。約2000万粒のうち反応陽性と判定された約150粒から、ランダムに選んだ20粒の1個ずつのシーケンスで高頻度に検出された配列はGly-X1(Q, S, T)-X2(V, T, F)-X3(D, I, V, E)-X4(R, Y, P)-Glyであった。実験効率を考慮して残りの約130粒の陽性ビーズを一括し、ペプチドを切り出しカクテルを改良し、プールシーケンスを行った結果、X1ではE, F, L, P, R, Y、X2ではE, I, V、X3ではE, R、X4ではLが検出された。これらの結果を統合したがコンセンサス配列を特定することは困難であった。平行して、溶液中で機能アッセイが可能な、ポジションスキャニング法によるライブラリーの構築も行った。通常行われる手法ではアミノ酸誘導体混合物を固相反応に用いるが、各アミノ酸による反応性の違いにより均一なライブラリーの構築は不可能である。そこで複雑ではあるが、毎回19分割によるSPllt&Combine法を繰り返してN末端アミノ酸導入を実行し、質の高いライブラリーを作製した。(692字)
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