研究概要 |
1 Fc受容体遺伝子診断:歯周炎重症度・抵抗性との関連、新たな遺伝子多型の発見 慢性歯周炎(CP)の重症度とFc受容体(FcγR)遺伝子多型の関連性をアレル特異的PCR法にて検索したところ、中等度CP(39名)と比べ重度CP(50名)でFcγRIIIa-158Vアレルの頻度が有意に高かった。また、FcγRIIIa-158VとFcγRIIIb-NA2のアレル組合せとCP患者の重症度との間に強い相関が認められた。70歳高齢者599名を対象に歯周炎抵抗性との関連性も検索したところ、歯周炎感受性群(73名)と比べて歯周炎抵抗性群(46名)でFcγRIIIb-NA1アレルが有意に高頻度であることを認めた。 好中球特異的FcγRIIIB及びBリンパ球特異的FcγRIIBの遺伝子上塩基配列を解析したところ、前者で1カ所(nt221)、後者で7カ所(nt688, 689, 692, 694, 699, 725+7, 725+26)で遺伝子多型が認められた。 現在、歯周炎との関連性を検索中である。 2 免疫療法:抗P. gingivalisヒト特異的抗体の作製、その効果 歯周病原菌P. gingivalisを嫌気培養後、超音波破砕処理・クロマトグラフィーにて40kDaリコンビナント外膜蛋白質(γ40kDa OMP)を作製した。同抗原をヒト抗体産生マウス(KMマウス)腹腔に接種・免疫し、脾細胞を回収後、ミエローマ細胞と融合させて、抗γ40kDa OMPヒト特異抗体を合計102クローン作製できた。そのうちIgGは99クローンあり、サブクラスでは、IgG1が84クローン、IgG2が11クローン、IgG4が4クローンで、IgG3クローンは認められなかった。P. gingivalis r40kDa OMP・全菌体に対する結合能をELISA測定し、結合能の高い3クローンについて好中球の貧食活性を調べたところ、ポリクローナル抗体と比べて貧食能が著しく高かった。
|