研究分担者 |
今村 隆寿 熊本大学, 医学部, 助教授
丸山 征郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20082282)
鳥居 光男 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30116066)
富川 宗博 第一製薬, 開発企画部, 調査役
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研究概要 |
歯周病の病因と活性化血液凝固第X因子(Factor Xa)および歯周病菌Porphyromonas gingivalis由来のプロテアーゼ(gingipains:RgpA,RgpBとKgp)との関連を調べるために、両酵素の炎症惹起作用をinterleukin(IL)-6,IL-8,matrix metalloproteinase(MMP)-1の発現を指標にして歯肉線維芽細胞培養系において検討した。Factor XaおよびRgpA,Bは、IL-6,IL-8,およびMMP-1の産生およびmRNA発現を強力に誘導した。また、両酵素はMMP-1の活性化も誘導した。次に、我々はこれらの炎症惹起活性に対する選択的Factor Xa阻害剤DX-9065aの効果を検討した。その結果、DX-9065aは、Factor XaおよびRgpsによるIL-6,MMP-1の発現誘導を強力に抑制した。また、同薬剤はFactor XaおよびRgpsによる転写因子NF-κβおよびEts-1の活性化を強力に抑制した。さらに、同薬剤は、P.gingivalisの増殖を強力に抑制した。以上の結果から、Factor XaおよびRgpは、その酵素活性による直接的な組織破壊だけでなく、炎症性サイトカインおよびMMPの過剰産生を促して、歯肉局所における炎症を強力に惹起している可能性が示唆された。また、DX-9065aはこれら酵素の炎症惹起作用を抑えるとともに、歯周病菌の増殖も抑えることから、抗炎症作用および抗菌作用を合せ持った新規の歯周病治療薬として有望であることが示唆された。
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