研究概要 |
歯周病の病因と活性化血液凝固第X因子(Factor Xa)との関連を調べるために、DNAマイクロアレイを用いて、Factor Xa刺激で歯肉線維芽細胞から誘導される遺伝子のプロファイリングを行なった。humanの2400遺伝子について解析を行なった結果、刺激後1時間で23種類の遺伝子が強く誘導された。それらの遺伝子についてクラスター解析を行なった結果、神経の発達や伝達に関係する分子(LLGL, GAP-34, syntaxin7, metabotropic glutamate receptor 8)、水やイオンのトランスポーター(Aquaporin 9, rab5)また炎症反応に関わる分子(NF-kB, L-sel ectin)などの発現誘導が認められた。また、unknownの遺伝子の発現誘導も認められた。そこでそれらの分子の一つ(KIAAO263)の発現動態を詳細に検討した。ヒト組織cDNAのマイクロアレイを用いた解析結果から、同分子は脳(特に小脳と海馬)および精巣に強く発現していることが明らかになった。また、northern blot解析の結果、同分子はFXaで刺激した歯肉線維芽細胞に刺激後1時間で強く発現した。またその発現はThrombin、IL-1やTNF-α刺激では誘導されないことからFactor Xa特異的な反応であることが示唆された。現在、この分子の過剰発現マウスおよびこの分子に対する抗体を作成中であり、疾患との関わりを詳細に検討する予定にしている。
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