研究課題/領域番号 |
12557210
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関水 和久 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90126095)
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研究分担者 |
久保 健雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (10201469)
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キーワード | 大腸菌 / DnaA蛋白質 / 阻害剤 / 抗菌物質 / 抗菌剤 / DNA複製 / ATP / 蛋白質の精製 |
研究概要 |
本研究は、大腸菌のDnaA蛋白質のATP結合活性を阻害する物質を探索し、新規細菌感染治療薬の開発を目指すものである。本研究においてはまず、大腸菌DnaA蛋白質の大量調製法の確立を行った。すでにこれまで確立されている精製法では、ATP結合活性が高いDnaA蛋白質を再現性よく精製することは、技術的に困難であった。DnaA蛋白質の精製にあたっては、これまで、大腸菌を用いて、多量生産させることがおこなわれてきた。本研究において、大腸菌にとって、大腸菌DnaA蛋白質の多量発現が有害であることが明らかとなった。そこで本研究においては、発現ベクター、及びDnaA蛋白質の誘導条件の改良を試みた。その結果、ATP結合活性の高いDnaA蛋白質を得ることができた。しかしながら、DnaA蛋白質1分子あたりに結合する最大ATP分子数は、0.5分子以下であった。この結果は、最終精製標品にATP結合活性をもたないDnaA分子が多数混入していることを意味している。この点は、DnaA蛋白質と相互作用する阻害剤の開発に必要な、X線結晶解析やNMR等の物理化学的解析を困難にするものであり、今後の充分な検討が必要である。さらに本研究では、インジゴ誘導体を作成し、DnaA蛋白質のATP結合化成を阻害する物質を見出した。しかしながら、得られた候補化合物はいずれも大腸菌の増殖を阻害することはできず、抗菌活性を示すものは得られていない。原因として考えられるのは、候補化合物の細胞質膜の透過性が低い可能性である。試験管内での阻害活性を有することは、抗菌剤の必要条件ではあるが、むしろ膜透過性に着目して開発に臨む必要があることを本研究の結果は示している。
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