研究課題/領域番号 |
12557215
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺崎 哲也 東北大学, 未来科学技術共同センター, 教授 (60155463)
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研究分担者 |
阿部 高明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80292209)
森 しのぶ 日本学術振興会, 特別研究員
大槻 純男 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (60323036)
細谷 健一 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70301033)
石川 智久 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (60193281)
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キーワード | 血液脳関門 / 細胞膜輸送 / 遺伝子発現系 / 培養細胞 / 条件的不死化細胞 / 脳毛細血管内皮細胞 / 新薬スクリーニング / 輸送担体 |
研究概要 |
中枢作用薬の開発において、血液脳関門透過性を評価することは最も重要な課題の一つである。本研究は血液脳関門輸送担体を遺伝子レベルで解明し、基質認識特性を解析する発現系を開発することを目的とした。脳毛細血管内皮細胞の脳側細胞膜に発現している輸送担体として、グリシン、プロリンなどを輸送するシステムAを遺伝子レベルで解明することができた。ATA2がその実体であることが明らかになり、この輸送系は浸透圧依存的に誘導されることが分かった。この成果は論文として受理された。さらに、タウリンを輸送するTAUTが発現していることを明らかにした。この輸送担体は、浸透圧依存性、サイトカイン反応性で、アウリン高濃度下でダウンレギュレ-ションを受けることを明らかにした。一方、有機アニオン輸送系の一種OAT3がラットの血液脳関門において、インドキシル硫酸などの尿毒症物質やデヒドロエピアンドロステロン硫酸抱合体を輸送することを明らかにした。また、骨硬化症マウスにおいてその発現が低下していることが報告されているRoctが、OAT3のマウスカウンターパートであることを明らかにした。さらに、血液脳関門に発現しているCRTが脳内エネルギー蓄積物質として重要なクレアチンを循環血液中から脳内へ輸送する働きがあることを明らかにした。以上、これまで未知の血液脳関門輸送機能を遺伝子レベルで明らかにすることができた。特に、有機アニオン系薬物の脳内移行性を顕著に阻害していると推定されるOAT3, RoctについてはORFの全長cDNAを単離し、発現系用いてISやHVAなどの基質を輸送する機能を有していることを明らかにした。これらの成果は、中枢作用性新薬開発において非常に有用な手法として活用することができる。
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