研究課題/領域番号 |
12557217
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長野 哲雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (20111552)
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研究分担者 |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20292956)
菊地 和也 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (70292951)
樋口 恒彦 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (50173159)
島田 典招 第一化学薬品, 素材技術研究所, 所長(研究職)
平田 恭信 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (70167609)
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キーワード | 亜鉛 / バイオイメージング / 蛍光 / 蛍光顕微鏡 / 虚血 / プローブ / 錯体 |
研究概要 |
時々刻々変化するダイナミックな細胞の変化を酵素活性レベルで知ることができれば、生命科学研究は一段と進展することは疑いない。このような観点から、我々は今年度、チロシンホスファターゼ(PTP)の可視化プローブの開発を行った。PTPはタンパク質チロシン残基の脱リン酸化を触媒する酵素であり、チロシンキナーゼとともに細胞内シグナル伝達において重要な役割を担っている。本研究では、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用したPTPのレシオ測定蛍光プローブを開発・応用し、その機能を解明することを目的としている。レシオ測定は、蛍光強度比を検出することで蛍光プローブ自身の局在や濃度変化による測定誤差を小さくできる測定法である。 具体的にはキサンチン環水酸基にリン酸基を有するフルオレセインを、リンカーを介してクマリンと結合させた化合物をデザイン・合成した。この化合物はフルオレセインがラクトン型であるために、FRETは起こらずクマリン蛍光が観測される。PTPによる加水分解を受けると、フルオレセインがキノイド型となるためにFRETが起こり、フルオレセイン蛍光が観測されると考えられる。検討の結果、受容体型PTPであるCD45および細胞質型PTPであるPTP1Bを用いてアッセイを行ったところ、いずれの場合にも酵素反応の進行とともにドナー蛍光が減少し、アクセプター蛍光が増大した。これはPTP活性のレシオによる検出が可能であることを示している。 今後この原理を他の酵素にも応用し、細胞のダイナミック解析を行う予定である。
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