研究課題/領域番号 |
12557222
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
青木 康展 国立環境研究所, 化学物質環境リスク研究センター, 室長 (20159297)
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研究分担者 |
斉藤 穂高 (株)三菱化学, 安全科学研究所・横浜研究所, 主任研究員
武田 洋幸 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80179647)
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キーワード | 変異原物質検出 / トランスジェニック魚 / ゼブラフィッシュ / 急性毒性 / 孵化異常 / 形態形成異常 / 突然変異頻度 |
研究概要 |
我々が開発したrpsLトランスジェニックゼブラフィッシュ(Tg)をリスク評価へ適用するためには、代表的な変異原物質を用いた実験系の検証が必要である。そこで、突然変異誘発機構がよく知られている発がん物質N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(MNNG)をTgの胚に曝露して、MNNGの変異原性を定量的に検出できるか検討した。同時に、形態異常の解析を行った。 24時間胚にMNNG(1時間)(20時間)を曝露し、曝露開始から3日後の孵化稚魚をまとめてDNAを抽出し、変異原性モニターrpsLに誘発された突然変異について解析した。また、胚の形態異常について、実体顕微鏡下で観察し、体長を測定することにより定量化を試みた。 処理濃度が0、50、150mg/lと高くなるにつれ、突然変異頻度は、5、40、140×10^<-5>と高くなり、体長は、3.47、3.31、3.20mmと短くなった。誘発された突然変異のタイプを塩基配列決定により調べると、大部分がグアニンへの付加体形成に由来するG:CからA:Tの塩基置換であり、MNNGの変異原性を塩基配列レベルで検出できることが明らかになった。形態異常の指標としての孵化稚魚の体長を測定すると、処理濃度依存的に短くなっており、150mg/lでは対照群より約8%有意に短かった。 以上の結果から、本ゼブラフィッシュ胚は、突然変異の解析に加えて、形態異常も毒性評価の指標にできる可能性が示唆された。
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