研究概要 |
本研究では、先天代謝異常症を中心とする単一遺伝子病の日本人集団における遺伝子診断のために、汎用遺伝子診断用マイクロアレイ(Japanese chip)の作成を目的としている。本年度はまず、日本人集団における遺伝病の既知遺伝子変異について、インターネットのウェブと文献双方の検索を行い、原著論文を確認しながら遺伝子変異検出用プライマーの設計をおこなった。また、糖原病Ia型およびIb型、connexin 26による先天性難聴については、遺伝子診断を行うために必要な日本人集団における詳細な遺伝子変異スペクトラムを明らかにした(Am.J.Med.Genet.91:107-112,2000;Am.J.Med.Genet.92:90-94,2000;J.Pediatr.137:253-256,2000;Am.J.Med.Genet.90:141-145,2000)。さらに、Fanconi-Bickel症候群の日本人症例におけるGLUT2変異を明らかにした(Pediatr.Res.48:586-589,2000)。つぎに、DNAマイクロアレイ作成に関する技術的な検討を行ったが、グラス表面の処理法とオリゴヌクレオチドの固相化についてはさらに改良の余地があると考えられ、今後も引き続き検討を続けていく予定である。また、申請者らが考案した新しい技術に基づく点変異検出法(未発表)をマイクロアレイに応用するために、基礎的な検討をあわせて行った。
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