研究課題/領域番号 |
12557226
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
細谷 健一 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70301033)
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研究分担者 |
河津 剛一 参天製薬, 眼科研究所・動態研究グループ, マネージャー(研究職)
帯刀 益夫 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10099971)
片山 和憲 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (70126514)
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キーワード | Muller細胞株 / 条件的不死化細胞株 / 血液網膜関門 / GLAST / system xc^- / 培養細胞株 / 酸化的ストレス |
研究概要 |
温度感受性SV40 T抗原遺伝子導入トランスジェニックラット(tsA58 TG rat)から条件的不死化網膜Muller細胞株(TR-MUL)を樹立することを目的とした。tsA58 TG rat 2匹から候補株TR-MULを5株単離した(TR-MUL1〜5)。これらクローンは初代培養したラットMuller細胞と同じ形態である、棒状の形状を示した。TR-MUL細胞はSV40 T抗原が発現し、33度ではdoubling-time30時間で増殖した。37度ではdoubling-timeが46時間に増加し、39度では細胞は増殖せずに細胞数が減少した。TR-MUL細胞は、SV40 T抗原による温度依存的な増殖性が示され、条件的不死化細胞株であることが示唆された。酸性アミノ酸輸送系でin vivo Muller細胞に発現していることが報告されているGLASTがmRNAレベルで、L-glutamic acid(L-Glu)をL-glutamineに変換する酵素、glutamine synthetaseの発現がmRNAおよびタンパクレベルで示された。さらに、グリア細胞のマーカーで酸性タンパクであるS-100の発現がmRNAレベルで示された。一方、同じ酸性アミノ酸輸送担体でもin vivo Muller細胞に発現していないと報告されているGLT-1の発現はRT-PCRで示されなかった。このことから、樹立したTR-MULは少なくとも一部はin vivoにおけるMuller細胞の性質を保持していることが示唆された。さらに、酸性アミノ酸L-GluとL-cystineの交換輸送系であるsystem xc^-の発現をRT-PCRで解析したところ、system xc^-を構成するmRNAであるxCTと4F2hcの発現が示された。このxCT遺伝子はdiethyl maleateを用いた酸化的ストレス条件下で12時間培養することで6倍誘導されることが示された。以上のことから、tsA58 TG ratから少なくと一部はin vivoの性質を保持したTR-MUL細胞株が樹立できた。さらに、TR-MUL細胞はsystem xc^-を発現し、diethyl maleate処理による酸化的ストレス条件下でsystem xc^-遺伝子が誘導されることが明らかとなった。
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