研究課題/領域番号 |
12557229
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学部, 助教授 (20155237)
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研究分担者 |
崔 吉道 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (40262589)
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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キーワード | 血液脳関門 / 内皮細胞 / アストロサイト / トランスポーター / 密着結合 / 中枢デリバリー / 薬物輸送 / 脳解毒 |
研究概要 |
昨年度に続き、血液脳関門に存在するトランスポーターの分子的・機能的探索と新規評価系の確立を試みた。本年度は新たに、血液中から脳内への栄養物輸送に働くアミノ酸トランスポーターLAT1、LAT2およびその補助因子4F2hc、ならびにカルニチントランスポ一夕ーOCTN2が、血液脳関門として機能することを見いだした。本研究は、脳毛細血管内皮の初代培養ならびに不死化細胞、トランスポーター遺伝子欠損動物を併用したin vivo実験などの組み合わせにより得られたものである。いずれのトランスポーターも脳内への物質取り込みに働くタイプであり、これらがL-DOPAやアセチルカルニチンなどの薬物の脳内移行に働くことを示した。 また、薬物の中枢移行については新たにH1アンタゴニストのエバスチンに着目し、経口投与後の代謝産物カレバスチンとともに解析した。その結果、これらH1アンタゴニストはP-糖タンパク質による排出により脳内移行性が低く保たれており、中枢性副作用が低いものと推定された。一方、カレバスチンに比べエバスチンは脳内移行性が高かったが、それは脳内取り込みに働くカチオントランスポーターへの親和性の相異によって説明できるものであった。さらに、新たなin viro血液脳関門評価系として、脳毛細血管内皮細胞とアストロサイトの共培養系の導入を行った。共培養により血液脳関門マーカーや密着結合性の向上が見られたが、さらなる改善の必要性を示す結果となった。 以上、本研究成果として新たな血液脳関門機能を分子・機構論的に見いだすことに成功するとともに、マススクリーニングに適した評価系の確立を試みた。評価系についてはさらなる改善が必要であるが、見いだされた新規血液脳関門機能は今後の脳内への薬物デリバリーに有用な情報を与えるものとなった。
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