研究概要 |
ヒスタミンH_1受容体は細胞外情報のヒスタミンを認識して細胞内に情報伝達を行うのみならず,受容体自身が情報伝達の調節機構に積極的に関与することを明らかにしつつある.その機構のひとつはヒスタミンH_1受容体蛋白のリン酸化による脱感作機構であり,もうひとつはH_1受容体遺伝子転写活性上昇よる受容体up-調節機構である.双方ともに蛋白キナーゼC (PKC)が関与する.そこで,これらの機能に関与するPKCアイソザイムを同定するために個々のアイソザイム特異的リボザイムを作成している.1.PKC-αの塩基配列の5'側に近い部分から選択した5カ所のリボザイムインサート,Ribo-PKC-α1〜Ribo-PKCα5を作成し,pcDNA3.1 Zeo+CMV(-)に挿入し,プラズミドpcDNA3.1 Zeo+CMV(-)-PKC-α1〜pcDNA3.1 Zeo+CMV(-)-PKC-α5を作成した.2.作成したプラズミドをヒスタミンH_1受容体発現細胞株であるHeLa細胞,U373細胞,リコンビナントH_1受容体発現CHO細胞にトランジエント,および,恒久的発現を試みた.3.恒久的発現は細胞が死ぬ傾向が見られた.トランジェント発現におけるプラズミドの導入効率は40〜50%であり,その条件ではPKC発現レベルの低下はウェスタンブロット解析で観察できなかった.そこで,1.導入効率のよいリポゾームを用いてリボザイムの高発現を試みる.2.画像解析を用いてリボザイムの発現した細胞についてPKC発現の消失を確かめる.そして,目的を達成する.一方,ヒスタミン誘発H_1受容体ダウン調節に対してGキナーゼ阻害薬が強力に作用することを見いだした.Gキナーゼアイソザイム特異的リボザイムによるアイソザイムの同定を行う.
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