研究課題/領域番号 |
12557232
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530)
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研究分担者 |
坂本 淳 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40336392)
竹村 晴夫 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20106462)
八田 愼一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60094223)
犬塚 英治 浜松ホトニクス(株), 部門長(研究職)
久原 真 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80336403)
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キーワード | 水チャネル / Kチャネル / 浮腫 / 脳 / アストロサイト / Kir4.1 / AQP4 / ラミニン |
研究概要 |
水は脂質2重層からなる細胞の膜を直接透過できるものと考えられていたが、実際にはアクアポリンという水チャネルが細胞膜上に発現しており、このアクアポリンの穴を通して水が輸送されることがわかってきた。しかし、細胞、組織における水の出納調節については不明な点が多い。脳では外傷、腫瘍、出血や血栓症などの疾患によってしばしば浮腫がおき、この浮腫が、脳ヘルニアなど致命的な疾患を起こしたり、病態を悪化させる原因となることがしばしば見られる。この浮腫には脳のグリア細胞が大きな働きをしていることがこれまでの研究でしだいに明らかとされてきた。脳の水輸送を単離グリア細胞で調べるために、生直後マウス脳より単離したアストロサイトの一次培養細胞とPC12細胞を用いて水チャネルおよび水輸送に伴って輸送されると考えられるK+イオン輸送を担うKチャネルについて検討した。RT-PCRによってアストロサイトに発現する水チャネルはAQP4、KチャネルはKir4.1が同定された。一次培養細胞においてそれぞれの抗体で免疫染色をおこなうとAQP4は細胞膜に、一方、Kir4.1については細胞内の染色が得られた。脳切片を用いたKir4.1分布を検討したところ、GFAPとKir4.1の2重染色によってKir4.1がアストロサイトの細胞膜上に存在することを確認した。チャネル分布の違いは培養によって変化することから、チャネル局在が変化する培養条件を探した結果、各種成長因子ではチャネル分布が変わらないが、アストロサイト培養において培養ディシュをラミニンコートしておくと、Kir4.1の発現が細胞膜上にも出現することを見出した。以上より、障害によって細胞環境が変化することで水輸送にも変化がもたらされる可能性が高いことが考えられた。
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