研究課題/領域番号 |
12557236
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 順一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80006337)
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研究分担者 |
小林 典裕 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90205477)
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キーワード | 抗メタタイプ抗体 / 超抗体 / 免疫工学 / 一本鎖Fvフラグメント / 非競合型イムノアッセイ / ハプテン / ステロイド / 臨床分析化学 |
研究概要 |
抗体は生体内微量成分の分析に不可欠の機能性器材である。しかし、低分子化合物に対する抗ハプテン抗体では親和定数に限界があるため、attomoleレベルの高感度を得ることは不可能に等しい。そこで、従来調製が困難とされるモノクローナル抗メタタイプ(Met)抗体(抗原抗体複合体を特異的に認識する抗体)を調製し、これをキーマテリアルとするハプテンの高感度非競合型イムノアッセイの構築を企画した。抗Met抗体を調製するためには、抗ハプテン抗体とハプテンの複合体で動物を免疫することになるが、分子量の大きな天然型抗体ではハプテンの結合前後の構造変化が小さく、抗Met抗体の産生確率は極めて小さい。以上の観点から、分子量の小さな人工抗体フラグメントである一本鎖Fvフラグメント(scFv)を用いて免疫することを企てた。すなわち、リトコール酸3-サルフェート(LCA3S)、ジゴキシン(DIG)、ウルソデオキシコール酸3-サルフェートの3種をモデルハプテンに取り上げ、scFvの調製を検討した。各ステロイドに対する抗体産生ハイブリドーマからRNAを抽出し、RT-PCRにより抗体H鎖及びL鎖可変部遺伝子(V_H、V_L)をクローニングした。LCA3S、DIGについてはV_HとV_Lをリンカー配列を介して連結したのち大腸菌に発現させてscFvを調製した。抗LCA3S-scFvについては、その結合特性をELISAにより検討し、LCA3Sに対して十分な親和力を保持していることを確認した。現在、抗DIG-scFvの結合特性の検討を進めているが、これらscFvとハプテンの複合体で免疫することで、抗Met抗体の調製が可能になるものと期待される。また、scFvの相補性決定部にランダムな変異を導入することで、天然型抗体よりも優れた結合特性を有する超抗体の創製も可能と思われる。
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