疾患関連SNP検査のための新規DNAアレイ法の開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12557237
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 徳永 勝士 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40163977)
• 研究分担者: 唐木 幸子 オリンパス工学工業株式会社, 基礎技術研究所, 主任研究員(研究職) ; 北條 浩彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60238722) ; 土屋 尚之 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60231437) ; 山根 明男 湧永製薬株式会社, 創薬研究所, 主任研究員(研究職)
• キーワード: 疾患感受性遺伝子 / SNP / DNAアレイ / HLA遺伝子

研究概要

代表的なリウマチ性疾患である慢性関節リウマチおよび全身性エリテマトーデス、代表的な炎症性腸疾患のひとつクローン病、また代表的な睡眠疾患であるナルコレプシーを対象として選び、候補遺伝子の変異スクリーニングとcase-control関連分析によって、これらの疾患感受性と関連する単一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)を探索している。今年度は新たにTNFα遺伝子のプロモーター領域のSNPとクローン病の関連、TNFR遺伝子の翻訳領域のSNPとナルコレプシーの関連を論文報告した。さらに、CXCR1、CXCR2、CXCR3、c-FOS、OX40 ligandなど10種類ほどの候補遺伝子について多数の新たなSNPを見出し、順次論文発表している。
これに平行して、信頼性の高いDNAマイクロアレイ技術の確立を目指して、ヒトの遺伝子としては最高度の多型を示すHLA遺伝子群を対象とした、新規SNPタイピングシステムを開発している。今年度は点着式DNAマイクロアレイにおけるDNA固相化条件、ハイブリダイゼーション条件等の検討を行った結果、HLA-DRB1遺伝子をアリル特異的に検出することに成功した。また、平板担体上にチャンバーを設けることでマイクロプレートと同様の簡便な操作が可能となった。従って、この方法はHLA遺伝子検査の簡易化、低コスト化に非常に有用であると考えられる。この結果は2001年5月の輸血学会などで発表する予定である。

研究成果

• [文献書誌] Tsuchiya N,Komata T,Matsushita M,Ohashi J,and Tokunaga K.: "New single nucleotide polymorphisms in the coding of human TNFR2."Genes Immun.. 1・8. 501-503 (2000)
• [文献書誌] Hohjoh H,Terada N,Kawashima M Honda Y,and Tokunaga K.: "Significant association of the tumor necrosis factor receptor 2(TNFR2) gene with human narcolepsy."Tissue Antigens. 56・5. 446-448 (2000)
• [文献書誌] Umino Y,Hohjoh H,and Tokunaga K.: "Novel single nucleotide polymorphisms (SNPs) at position 497(T/G) and 829(T/C) in the human c-FOS gene and haplotype association."Human Mutat.. 16・3. 279 (2000)
• [文献書誌] Kato H,Tsuchiya N,and Tokunaga K.: "Single nucleotide polymorphisms in the coding region of human CXC-chemokine receptors CXCR1,CXCR2 and CXCR3."Genes Immun.. 1. 330-337 (2000)
• [文献書誌] Kawasaki A,Tsuchiya N,Hagiwara K,Takazoe M,and Tokunaga K.: "Independent contribution of HLA-DRB1 and TNFα promoter polymorphisms to the susceptibility to Crohn's disease."Genes Immun.. 1. 351-357 (2000)
• [文献書誌] Shibue T,Tsuchiya N,Komata T, et al.: "Tumor necrosis factor α 5'-flanking region, TNF receptor II, and HLA-DRB1 polymorphisms in the Japanese patients with rheumatoid arthritis."Arthritis Rheum.. 43・3. 753-757 (2000)