研究概要 |
本研究は,生涯学習において,広域ネットワーク上で,目標を共有する学習者が,協調学習を行うのを支援するシステムを目指して,4つの目標を立てて研究を行ってきたが,本年度においては(1)比較参照によって情報から学ぶのを支援する,という目標に対しては,自然言語処理に基づいた語と語の係り関係の情報から,語の特徴空間を求めておき,パラグラフ毎の語の出現情報を語特徴空間にマッピングすることによって,パラグラフ間の意味内容の類似性を求め,オーサーや学習者が,リソースに対してアノテーションを行うのを支援する仕組みについて,試作を行ったが,評価に基づくチューニングは,まだこれからという段階にとどまっている.(2)メディア表現教材との動的なインタラクションによる体験的学習において,加齢や肢体不自由を考慮した支援を行うという目標については,マウスによるポインティング操作を,学習による統計的モデルと履歴に基づいて,ターゲットとするアイコンや領域を予測し,確認の上,途中をスキップさせたり,カーソル移動係数を制御する方法が開発された.(3)問題解決支援と,(4)協調場の実現の目標については,共同作業場における協調作業によるプランニングや実行や例題参照の支援を,効率よく行なうために,学習者/メンタークライアントでのイベントに対するcall backとオブジェクト生成のメソッドだけを,他のクライアントに対して,サーバ経由で,ラッピングした形式でリモートに起動し,その実行は,各クライアントにまかせる方式が考案され,このとき,必要となるオブジェクト参照の同期方式について,デザインを行った.現在は,実験のために,LAN上でのJAVA-RMIで実装しているが,広域協調場を実現するために,SOAPのようなhttpプラスXMLベースのコミュニケーションを使う場合でも,同様の考え方で実装できる.(4)のなかの議論場の実現については,共同作業場とは見かけ上独立なコミュニケーションチャネルを設け,音声認識による記録にタグ付けできる仕組みを検討した.全体の評価は,今後の課題とした.
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