研究概要 |
本年度は以下の3点について研究を進展させ,2件の学術雑誌論文・1件の国際会議論文・2件の国内会議論文として成果を発表した.まず,昨年度の研究において開発した統計的推定に基づく『SPECT・PET画像再構成』、『MRI画像領域分割』、『気管支線毛運動動画像からの動きベクトル抽出』の各アルゴリズムの性能評価を行い,これらのアルゴリズムが統計的推定に基づかない従来の代表的手法(フィルタ補正逆投影法によるSPECT・PET画像再構成、K平均クラスタリング法によるMRI画像領域分割、ブロックマッチング法による動くベクトル抽出)と比較して優れた性能を持ち計算量も昨年度行ったアルゴリズムの高速化により現実的なものになっていることを実証した.次に,新しい考え方に基づく画像処理アルゴリズムの試みとして,非線形計画法の双対性と呼ばれる数理計画法の理論やトポロジー拘束条件付きのラベリングと呼ばれる画像処理の分野で極めて新規性が高いと思われる着想に基づいて,アンギオグラフィーやPETなどの医用画像診断装置で撮影した少数方向の投影データから被写体の断層像を再構成し可視化するアルゴリズムを開発した.そして,心臓血管のファントムやラットをアンギオグラフィー装置で撮影した実データやPETの実データを用いた実験を行い,提案手法が極めて有効であることを実証した.最後に,昨年度から開発してきたソフトウェアを昨年度購入したワークステーション(コンパック社製XP1000)上に統合する作業を開始し,一部のアルゴリズムについてはデータ入出力形式を統一化し統合を終了することができた.
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