研究概要 |
平成12年度は,EGG(Evolutionary Graph Generation)システムの並列処理に特化したPCクラスタを試作し,その動作試験と予備的な性能評価を行った. 1.マスターサーバ1台とノードプロセッサ10台から構成されるPCクラスタを構築した.OSとしてLinuxを使用し,マスターサーバは1GHz PentiumIII CPU×2個,1024MBのメモリ,15GBのハードディスクを備え,各ノードプロセッサは1GHz PentiumIII CPU,512MBのメモリ,15GBのハードディスクを備える.これらをGigabit Etherスイッチングハブにより結合した.本クラスタの動作試験を実施し,安定な長時間運転が十分可能であることを確認した. 2.従来,Sunワークステーション上で,SPARC C++コンパイラにより動作していたEGGシステムをGNU C++コンパイラで動作すべく修正を加えた.移植されたEGGシステムをPCクラスタ上に実装し,性能評価を実施した.今回試作したクラスタのノードプロセッサとSun Ultra60ワークステーション(360MHz UltraSPARC-II CPUおよび640MBメモリを使用)の性能比較を行った.性能は合成する回路の種類にも依存するが,各ノードプロセッサはUltra60のほぼ2倍以上の速度を有することが判明した.このノードプロセッサを10ノードクラスタリングすることによってUltra60と比較して,理想的には20倍以上のスループットを実現できることが明らかになり,EGG実装におけるクラスタコンピューティング技術の有効性が実証された. 3.EGGの具体的な応用として,SW(Signed-Weight)数系乗算器の合成,ビットシリアルデータパスの合成,アナログ・ディジタル混在回路の合成を取り上げ,基礎的な検討を行った.
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