研究概要 |
平成14年度は,PCクラスタ上に実装されたEGG(Evolutionary Graph Generation)および並列EGGシステムを利用した合成実験を行うとともに,実用的な問題を取り扱うためのEGGシステムの拡張,ならび汎用EGGフレームワークの開発を目的とした. 1.昨年度までに開発したEGGおよび並列EGGシステムを並列型定係数乗算器,並列型定係数積和演算器,ビットシリアル加算器,ビットシリアル定係数乗算器,ビットシリアル定係数積和演算器,電流モード算術演算回路などの設計に適用し,総合的な性能評価を行った.この結果,一般に,最大で約50ノード程度の回路グラフで記述できる回路合成問題にEGGが有用であることを見いだした. 2.昨年の基礎実験を通して,実用的な規模の回路設計問題にEGGを適用する際に有用な「トランスマイグレーション(Transmigration)」と呼ぶ新しい進化的操作の着想が得られた.これは,EGGの1回ごとの進化試行を完全に独立したものとして取り扱うのではなく,過去に得られた良好な回路構造をデータベースに登録し,必要に応じて現在の個体集団に注入することにより,進化速度を加速させる手法である.トランスマイグレーション機能を備える新しいEGGシステムを実装し,並列型定係数乗算器の合成に応用した結果,従来のEGGと比較して合成時間が1/3程度に減少できる見通しを得た. 3.これまでに提案してきたEGGシステムをさまざまな回路合成問題に適用することを目的として,オブジェクト指向フレームワークの概念に基づいて汎用EGGフレームワークの開発を行い,基本となるデータ構造を実装した.
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