形状変形を伴う軟組織手術ナビゲーションシステムの開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12558033
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 佐藤 嘉伸 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70243219)
• 研究分担者: 玉木 康博 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273690) ; 田村 学 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50273644) ; 田村 進一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30029540) ; 加藤 天美 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00233776)
• キーワード: 変形 / 軟組織 / 手術ナビゲーション / 3次元超音波 / 可視化 / 弾性マッチング / 非剛体レジストレーション

研究概要

●変形を伴う意識下の患者頭部の追跡
局所麻酔下の意識のある患者の頭蓋骨運動計測を行う方法を確立した。局所麻酔下の患者は、手術中しばしば痛みの恐怖から顔をしかめるが、その表情変化の扱いが問題になる。本手法では、顔の皮膚に付けた複数のマーカの初期配置形状からのずれで剛体性(表情変化の有無)を判断した。手法のポイントとなる以下の3点に関して、実験的解析を行い、顔の皮膚に3次元センサマーカ付けるという最も単純な方法が実用的に使えるための諸条件を確立した。(1)頭蓋骨との連動性の高いマーカ貼付け位置最適化。(2)マーカの初期配置の獲得のための安定表情の判定。(3)精度と追跡の成功率のトレードオフの最適化。
●3次元超音波画像の獲得と可視化
柔軟組織のイメージングにおいては、超音波画像が有用である。超音波画像可視化の際、乳癌のように境界が不明瞭な場合に対して、術者が与えた複数サンプル点から推定された癌領域と正常領域の濃淡値分布に基づきボリュームレンダリング法における不透明度関数を決定する方法を提案した。さらに、拡張現実感と組み合わせるため、カメラ歪みの補正の検討も行った。
●3次元弾性マッチング法
柔軟組織画像の変形補正を行うためん3次元弾性マッチング法に検討を加えた。マッチングの精度と安定性を高めるに、「局所的濃淡分布適合性」と「大局的な変形の滑らかさ」の重み配分を適応的に決定する方法を定式化し評価した。
●システムの構築と適用
要素技術として開発した「変形を伴う意識下の患者頭部の追跡」を組み込んだ局所麻酔下における耳鼻咽喉科内視鏡手術ナビゲーションシステムを構築し、実際に30例以上の手術に適用し、評価を行い、良好な結果を得た。

研究成果

• [文献書誌] 土屋啓 ほか: "意識下における人間頭部のトラッキング手法"電子情報通信学会技術研究報告[医用画像]. Vol.100,No.172,MI2000-28,. 55-60 (2000)
• [文献書誌] Y.Sato ほか: "A Simple Method of Cranial Tracking for Conscious Human and its Application to Computer Assisted Endoscopic Paranasal. Sinus Surgery under Local Anesthesia"15th International Symposium and Exhibition (CARS2001),. (印刷中).
• [文献書誌] 中本将彦 ほか: "3次元超音波画像のボリュームレンダリングにおける透明度関数の自動設定"Medical Imagign Technology. Vol.18,No.4. 461-462 (2000)
• [文献書誌] M.Nakamoto ほか,: "Magnet-optic hybrid 3-D sensor for surgical navigation,"Lecture Notes in Computer Science,Proc.Third International Conference on Medical Image Computing and Computer Assisted Intervention (MICCAI2000). Vol.1935. 839-848 (2000)
• [文献書誌] 山口鉄蔵 ほか: "関節鏡システムのための非線形歪を伴う安定なカメラパラメータ推定"第10回コンピュータ支援診断学会大会論文集 第9回日本コンピュータ外科学会大会合同論文集. 95-96 (2000)
• [文献書誌] M Tamura ほか: "New image-guided system with optical localizer applicable to endoscopic sinus surge under local anesthesia,"XIX International Symposium on Infection and Allergy of the Nose. (2000)