研究課題/領域番号 |
12558039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅原 進一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90011220)
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研究分担者 |
村岡 宏 株式会社大林組, 技術研究所, 研究員
岡 泰資 横浜国立大学, 工学部, 助手 (10240764)
須川 修身 東京理科大学, 火災科学研究所, 助教授 (60162856)
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キーワード | 地域安全インフィル / 延焼遮断帯 / 木造密集市街地 / 長命化 / 防火性能 / 伝統木造 / 難燃化剤 / 開口部 |
研究概要 |
日本の市街地を見ると老朽木造住宅が密集した地域が各所に存在している。阪神・淡路大震災ではこうした地域が被災し、6、432名が犠牲になり、このうち約550名が家屋の下敷きになったまま焼死した。その一方、新しい木質住宅は火災で類焼したもの以外、ほとんど無被害で残った。本研究課題は、「市街地木造の長命・防火性能向上を考慮した地域安全インフィルの創成に関する研究」であり、こうした最近の市街地の防災上の特徴を踏まえ災害のさらなる軽減のために提起したものである。本年度は、木造密集地域における集団火災拡大を防止するための空間形態として、主生活道路などに沿う部分に所定の防火性能のある住宅等を配置して延焼抑止帯(シェル)を形成し、その内部の餡(あん)、すなわちインフィル部分の火災を隣接市街地に延焼させない、あるいは隣接域で発生した集団火災を当該インフィルへ延焼させない方法の概念として、周囲道路の幅員に応じてシェル部分の厚みおよびインフィルの規模を4段階で提示した。また、シェルの延焼遮断性能を定量化するために、在来木造住宅や寺社などの大型木造建築物が多く混在する台東区を例にあげて延焼受害性および延焼加害性の検証を行った。これらのミクロ解析に加えて、市街地における延焼速度式に、混在建築物の構造種別および外壁開口部の有無を考慮したセミ・ミクロ解析を区内2地域について実施し、従来の均一化された市街地の延焼拡大性状とは逆の結果も得られた。また、地球環境問題の緩和や生活の潤いに木造が有効であるとの見解も多いことを考慮して露出木材の難燃化について各種薬剤の防火効果を調査し含浸タイプおよび発泡タイプが有効であることを見出した。さらに日本人の精神基盤である白木文化と木造防災との関連をアンケートおよび実地調査して、大規模寺社建築物の存在意義および防災問題解決の重要性を確認した。
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