研究概要 |
本研究計画では,広帯域地震計ネットワークによって得られる良質のデジタルデータを利用し,長周期(>10秒)波動場をモニタリングし,波動場と調和的な地震活動場を常時決定し,地震活動のリアルタイム・モニタリングを行う解析システムを作り上げることを目標としている. 科研の初年度にあたる今年度は,当初の研究計画に沿って,システムの設計・シミュレーションを行った.既存の自動モーメント・テンソル解析ソフトに手を加え,長周期波動場のリアルタイム解析用のソフトを構築し,ワークステーション上でシミュレーション実験を開始した.また解析結果のリアルタイムTVモニター表示・ホームページ表示のシステムの開発も平行して開始した.実際のシステムでは,地震研究所・地震地殻変動観測センターの関東ネットワークのデータを使う予定である.この際,win(Urabe,1998)フォーマットのパケットデータがリアルタイムで衛星から送られてくる場合に,どのようなデータ処理(フィルタリングなど),パソコン間のデータ通信が最適か,データの流れのシステム設計をした. 情報交換・共同研究のため,2000年12月に研究協力者の加藤護(地震研究所COE非常勤研究員)がカリフォルニアを訪れ,2001年1月に2人の海外共同研究者(Tajima博士とRomanowicz博士)が日本を訪れ,意見交換を行った.すでに同様のシステムを構築しつつあるカリフォルニア大のグループから,path calibrationの重要性が指摘され,カリフォルニアに較べて構造の複雑な日本ではより重要問題になることが予想され,今後の課題として認識された.
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