研究概要 |
本年度は昨年度までにおおむね計測可能となったCCD検出器の安定動作とX線領域への計測拡張を目指した.安定動作に関しては1.ハードウェアに関する改良(特に冷却用ペルチェ素子の電源容量の増大とコネクター類のノイズ対策)2.ソフトウェアに関する改良(特にコンピューター動作OSをwin-NT4.0にした)3.電気系統に関する改良(特にトリガー系のTTL信号を幅2msとした)を行った.結果としてCCD検出器はそのデータ取得,データ転送及びデータ処理を含めてほとんど誤動作しなくなり,安定に計測を継続できるようになった.電源系統にフィルターと無停電電源を挿入することで落雷等に起因する瞬間停電に対しても計測を中断することなく,安定に動作させることが可能となった.また,得られたデータについても自動的に記憶装置のミラーリングを実施することにより,格段と安全性を向上させることが出来た.X線領域への計測拡張に関してはCCD検出器をLHDに設置されているX線結晶分光器に取り付け,背面照射型と前面照射型(従来型)の検出特性の比較を行った.その結果,お互いの感度に大きな差は見られなかった.言い方を換えると,可視光用の従来型CCD検出器でも今回行った3-5keVのX線領域では(ArXVII及びTiXXIヘリウム様共鳴線に相当)十分な感度を確保することが可能であった.もう少しエネルギーの低いX線であればお互いの感度に大きな差が見られたものと考えられる.従って,比較的透過力の強い(可視用CCDの前面を覆っているSiO_2の薄膜を容易に透過できる)X線のみを単独に観測するのであれば,比較的高価な背面照射型CCD検出器を選択する必要はないかもしれない.しかしながら,背面照射型CCD検出器でも前面照射型と同じような検出感度を得ることが可能であることを確認できたので,これまでの研究の結果として,可視及びX線領域で遜色なく背面照射型CCD検出器を用いてプラズマ計測に応用可能であることを実験的に証明した.来年にはこれを真空紫外領域に適用し,その特質を実験的に確かめることとする.
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