研究概要 |
本年度は昨年度までに計測可能となったX線領域CCD検出器の高速サンプリング(高時問分解能計測)の試行と安定動作への改善,真空紫外領域への計測拡張を目指した. CCD検出器の高速サンプリングについては素子それぞれが有する電荷移動等に関する特性が異なる為,限界値をはっきりとは確定できないが,一応5msを目標とした.それに伴う改良点としては1.電荷の高速移動とCPUの高負荷による発熱を軽減(特に冷却用ペルチェ素子の電源容量の増大と高冷却化)2.高速サンプリングに対応したソフトウェアの改良3.高速サンプリング時の電荷移動の異常の有無の検査を行った。以上の事柄を実行した結果,10msのサンプリングでは全く問題なく動作させることに成功した.また,5msサンプリング時には5万カウント/ch以上の計数時にスペクトルの歪みを若干観測したので,ソフトウェアで計数率の上限を設定することとした. 真空紫外領域への計測拡張に関してはCCD検出器をLHDに設置されている3m及び20cm直入射真空紫外分光器に取り付け,背面照射型と前面照射型(従来型)の検出特性の比較を行った.前面照射型では半導体の上にコーティングが施されているため,2000A以下のスペクトルを観測するのは困難であったが,背面照射型では直接真空紫外線がCCDに入力されるため,問題なく300-2000Aの領域を計測することが可能であった.しかしながら,コーティングなし背面照射型CCDは背景雑音が比較的大きい.これはもともとのCCD製作時に有している特性により決まっており,製造会社とのさらなる密な議論が必要である.
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