研究概要 |
結晶系の太陽電池出力は日射量だけでなく電池の温度に大きく依存し,電池温度が高ければ出力は落ち,低ければ高くなる.電池の温度は日射量,気温,風速の影響を受ける.特に外気温の影響は大きく,夏季の電池温度は60℃以上になり,せっかく日射量が大きくても出力はそれほど大きくならない.これらを考慮し夏季において外気温の高い時は,太陽電池を冷却することで,出力の上昇が見込める.そこで太陽電池の温度が上昇した場合,何らかの方法で電池を冷却してやれば効率は大きくなり,年間の発生電力も大きくなる.以下に本研究に関して本年度実施した内容を列挙する. (1)本校専攻科棟屋上に集光面積41m^2,5kWp級の系統連系型太陽光発電システムの電力系統の配線および太陽電池アレイの直流出力,変換器を通して交流に変換され系統に供給される交流電力,電池の温度などの長期にわたる計測システムを構築した. (2)日射量,風速,気温などの気象情報を取得するため,それらのセンサーをシステム近傍に設置し,気象データ長期計測システムを構築した. (3)電池温度がある設定温度以上になったら給水弁が開き,冷却用の流体が均一に流れるような冷却装置を製作した.また,冷却流体の温度,流量を測定できる計測システム構築した. (4)太陽電池の熱収支を考える事により,気象データと太陽電池の電流・電圧特性式より太陽電池の温度を導き,電池出力を精密に計算する計算プログラムを作成した.
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