研究概要 |
本研究では軽水炉に使うUO_2燃料の高燃焼度化のため,低原子価金属とくにMgを2%から数%までの比較的高濃度に添加して燃料性能の向上を図ってきた.MgはMOX中で固溶体の状態で使用する。高燃焼度になるとFP濃度が数%になるから,Mg濃度が低いとFPがもたらす熱力学的悪影響を十分マスクすることができないため,添加濃度をこのように高くする.Mg添加により固溶体相の安定化を図るとともに,酸素ポテンシャル(ΔG^^-(O_2))の急変をもたらすO/M比を,2より相当小さな値まで大幅に低下させて,ΔG^^-(O_2)の低い値をO/Mの広い領域にわたって出現させる.さらに,燃料ペレット製造に当り,粒界を大きくする効果が期待できる.具体的には,MOX燃料を対象にPuのスタンドインとしてCeを用い,MgおよびCeを含む四元系固溶体Mg_yGe_zU_<1-y-z>O_<2+x>のΔGo_2について固溶金属濃度および温度の関数として定量的に研究するとともに、相関係、格子間Mgの挙動について調べた.y=0すなわちMg無添加の場合,Ge_<0.1>U_<0.9-y>O_<2+x>のp(O2)はO/M比が2において急変した.Mgを添加するとyの増加につれてΔGo_2の急変位置は大幅にハイポ側へシフトした.また,その曲線もよりながらかになり,Mgの添加とともにpO_2)がO/M比の増加に対して緩やかに変化するようになることが分かった.Mgの固溶度は酸素分圧によって異なり,P(O_2)=10^<-8>〜10^<-10>atmに最低値(数%)が存在する.酸素分圧が低くなるとMg固溶度が増すが,その際Mgの一部は格子間位置を占めて固溶している可能性がある.トルエン置換法により上記固溶体の密度のMg添加濃度による変化を調べると,その変化は全MgがUサイトに置換した場合あるいは格子間入った場合の変化よりも,中間的な挙動を示し,Mgは半数近くが格子間位置に入っていることが分かった.Mg-Ce-UO_2系におけるMgの添加効果はこれまでに調べたMg-Eu-UO_2系,Mg-Ce-UO_2系よりも幾分小さいことが分かった.
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