研究課題/領域番号 |
12558069
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
堀 秀隆 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00293241)
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研究分担者 |
早川 徹 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30313555)
丸山 威 (株)クボタ, 技術開発本部・BB・PT, 課長補佐(研究職)
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キーワード | バチラス・チューリンゲンシス / コナガ / 中性糖脂質 / コナガ中腸上皮細胞 / 膜脂質 / GalNAc / Cry1Ac抵抗性 / 殺虫トキシン |
研究概要 |
バチラス・チューリンゲンシスの生産する殺虫トキシンに13万倍抵抗性のコナガ幼虫と感受性コナガ幼虫を用いて、殺虫トキシンCry1Acに対する中腸上皮細胞膜蛋白の結合をプラズモン共鳴装置を用いて測定した。Cry1Ac,Cry1Aaトキシンは同じように可逆的、不可逆的に膜に結合した。一方Cry1Abは殆ど結合できず、しかも結合した分は全て可逆的に脱離した。Cry1Acの方がCry1Aaより膜に対する結合性が3倍高かった。Cry1Ac受容体はアミノペプチデースと考えられている。そこで抗アミノペプチデースポリクロナル抗体を用いてプラズモン共鳴装置の金薄膜に結合させた中腸上皮細胞膜蛋白をブロックして、トキシンとの結合を調査したところ、Cry1Acは最大結合量の50%が依然として結合した。 これらの知見は、抵抗性はトキシンの膜への結合の低さから説明できないこと、アミノペプチデース以外の蛋白も結合に役割を果たしていることが示唆している。そこで我々は両系統のコナガから中腸上皮細胞細胞膜を調製して脂質の分析を行った。中性脂質画分、酸性糖脂質画分、リン脂質画分の含量は抵抗性、感受性両系統でほぼ同じであった。一方中性糖セラミド画分は抵抗性でほぼ半分であった。特にヘキササッカリルセラミドとジサッカリルセラミドの含量は抵抗性では感受性の1/2〜1/3であった。 この実験はCryトキシン抵抗性機構を考える上で、膜脂質が関与する可能性を仮説としたものであり、得られたデーターはその可能性を強く示唆している。
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