研究概要 |
BTトキシンCry1Acに高度抵抗性のコナガはCry1Aaにも抵抗性であるがCry1Abには感受性である。Cry1Abと膜との相互作用は、Cry1Ac及びCry1Aaとの相互作用が検出できる条件では全く検出できないが、約百倍感度をあげるとトキシン蛋白の膜タンパクへの結合がシグナルとして検出できた。結合が検出された蛋白は300,230,180 127kDa蛋白などであb、Cry1Acの易合は110,105kDa蛋白であることと著しく異なった。一方Cry1Aaの場合は結合するタンパクは127,110,105kDa蛋白であり、これらの結果は、Cry1Abのコナガ中腸上皮細胞への結合が単に弱いと言うだけでなく、結合に関与すると考えられる蛋白種が異なることを意味している。リポソームを用いた結合実験では、100μgのトキシン濃度を用いたときはCry1Abだけがリポソーム破壊能を示したが200μgの濃度ではCry1Ac、Cry1Aaがこの順番で破壊能を示した。しかしその破壊能はCry1Abより低かった。本実験に用いたCry1Abは組換え大腸菌で生産したものを単離精製したものであるが、BT由来のCry1Abを用いた所、非常に興味あることに、このCry1Abは2000μgの高濃度で、リポソーム破壊能を示さなかった。BT由来のCry1AbをCy3単光染色をしてリポソームとの結合を顕微鏡観察したところ、Cy3/BtCry1Abはリポソーム膜に結合していることが分かった。これらの結果は以下の2つの可能で意を示している。1,大腸菌由来の組換え体Cry1AbはBT由来のCry1AbとC-末端構造が異なり多少の分子型が互いに異なり一方は破壊できるが他方は破壊できない(両者のN-末端アミノ酸配列は分析の結果同じであった)。2,大腸菌が持つ特異な蛋白例えばポリンなどが混入しリポソームに結合破壊を行う。今後、大腸菌由来のポリンなどの影響を完全に評価できれば、これらの実験結果は極めて異議ある情報を提供すると期待できる。高度抵抗性コナガに欠損し、感受性コナガに特異的に存在するタンパク質を検出することが出来た。分子量約4万の蛋白で、クローニングを行えば、抵抗性コナガを検出するEUSA系の実現可能性が示された。
|