研究分担者 |
久保 俊裕 (株)クボタ, 鉄管研究部, 副部長
湯浅 晶 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (10109499)
山本 浩之 信州大学, 繊維学部, 教授 (60021151)
松下 拓 岐阜大学, 工学部, 助手 (30283401)
井上 隆信 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00184755)
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研究概要 |
今年度は,水流によってカワヒバリガイを脱離させることによって,脱離に必要な流速と成貝に作用する抗力について検討した.シリコーン樹脂系塗料に付着したカワヒバリガイは1m/s程度の比較的低いノズル流速でも脱離させることが可能で,脱離性の優れた塗料であることが確認された.一方,ステンレスやフッ素樹脂塗料などでは脱離に必要なノズル流速が3m/sを上回るものも確認された.また,アルミニウム製の試験片を用いて,成貝に作用する抗力を直接的に測定し,抗力と流速と殻の形状の関係式を提案した. この関係式を用いて,様々な試験片に付着したカワヒバリガイを脱離させるために必要な抗力を推定した結果,シリコーン樹脂系塗料に付着したカワヒバリガイを脱離させるために必要な抗力は0.1N未満であると推定された.一方,ステンレスやフッ素樹脂塗料では脱離させるために0.3N以上の抗力を必要とするもの確認された.これらの推定値を第4章で述べた脱離力と比較した結果,脱離時の抗力は脱離力の1/5程度(平均値)で,カワヒバリガイを脱離させる方法として水流を用いることの有効性が確認できた. 脱離時の抗力と足糸数の関係を考察した結果,抗力と切断足糸数の明瞭な相関関係を確認した.この結果は第4章で述べた脱離力と足糸数の関係に一致した.そこで,殻長と切断足糸数と脱離時の抗力と脱離時の流速の関係から,カワヒバリガイの成長と脱離に必要な流速の関係を予測した結果,分泌する足糸数が一定であるならば殻長が増加するにしたがって脱離に必要な流速が増加することを示した.
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