研究概要 |
地球統計学的手法を活用して,必要となる精度の土壌汚染分布を最小のサンプリング費用で推定するための年法を開発した.まず土壌概況調査におけるサンプリング地点配置の最適さを表す関数(評価関数)を地球統計学的方法で推定した場の条件付き期待値と,モンテカルロ的に発生した模擬真の場における真の濃度値の差の2乗和の期待値、あるいはそれらの維量の差の2乗の期待値として求めた。本研究で開発した手法では、事前情報としてあいまいな情報が存在する場合には、模擬真の場を発生するときに,unconditional simulationを利用して,与えられた情報に合致するような場のみを発生するようにすればよい.また、最適配置の探索のために遺伝アルゴリズムの改良と局所解への到達を保証する最急降下地点探索法の開発を行い、最適化手法として、それらのハイブリッド手法が有効であることを示した. また,本研究では最尤法による母数推定の特性と問題点,その改善方法などについて検討した.その結果,最尤推定法により求められた相関スケールは真の相関スケールと比較して多くの場合,小さくなる傾向があることなどが明らかとなった.また,特に最尤推定で得た母数を用いて求めた条件付き確率分布については,未知地点の不確定性を過大評価する場合や過小評価する場合があり,未知地点の不確定性を必ずしも正確に評価することはできないことを示した.さらにこのような最尤推定による母数の推定は,経験的ベイズ推定の事前情報として一様分布を仮定した場合に等しいことを示した.また,政府により公開された実データより,国内における土壌汚染事例の模擬的相関スケールが対数正規分布で与えられることを示した.このような相関スケールなどについての経験的事前情報を活用することにより,より妥当な母数の推定値が得られる可能性がある.
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