研究概要 |
研究代表者は,新概念によるバンコマイシン耐性克服を試みている。すなわち、生物活性天然有機化合物を適切なリンカー、scaffold に複数結合した「集積化天然物」によるアプローチである。これまでに数種のバンコマイシン集積体を合成し、耐性菌に対して顕著な活性増強を達成した。 集積体の構造活性相関研究を行なう場合、従来開発した方法では反応、精製の両段階で労力が大きいため再検討を行なった。すなわち、固相担持した触媒を利用した。この場合集積体は固相上に固定されているので未反応のモノマーとの分離が容易になった。一方で固相反応は反応速度が遅いため望む重合分布のサンプルを得ることが困難であった。そこで、液相での反応条件を再検討した。バンコマイシン誘導体は有機溶媒に対する溶解性が低いので、通常もちいる重合条件を用いることが困難であったが、硅素保護基を用いることで溶解度が向上した。現在では、塩化メチレン中で重合反応を行なうことができる。 液相における最適化をへて、固相反応条件を早期に確立することが重要と考えている。 他方、他の疾病に対する展開を目指して、血管新生阻害剤等をリガンドとする集積体合成を開始した。 ペプチド合成機で調製した活性モチーフに重合部位を導入し、メタセシス重合した。活性評価に必要なグラムスケールサンプルの合成を進めている。
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