前年までの成果でバンコマイシンオリゴマー重合度を自由に制御する事が可能になった。しかしながら、重合度の推定は従来ポリアクリルアミド電気泳動法によっており定量性、効率の両面に問題が残っていた。 本年度は、動的光散乱装置を導入し分析法の改善を目指した。合成したポリマーをジメチルスルホキシド溶液としストーク半径の測定をおこなったところ、予想される重合度との間によい相関が見られた。すなわち、光散乱法を用いれば迅速に重合度を決定できる。 一方で、異常型プリオンタンパク質の蓄積を阻害することを目的に、集積型阻害剤の設計と合成をおこなった。生物活性リガンドとして、阻害活性が報告されているアミノ酸13個よりなるペプチドを選んだ。プリオンタンパク質との相互作用測定には表面プラズモン共鳴法を用いた。プロオンタンパク質を金薄板上に固定化し、ペプチド単量体を流して解離定数を測定したところ10e-3M程度と大きな値が得られた。そこで、開環重合法に依り集積体としたところ、解離定数は約10分の1に低下し相互作用が強化された。これらの生物活性試験については現在検討中である。 また、抗腫瘍性をねらって血管新生を抑制する集積ポリマーの合成をおこない、機能評価をおこなった。
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